川勝平太静岡県知事4年の実績評価

1.はじめに

川勝平太知事は2期目就任以降の3年半の間、「富国有徳の理想郷“ふじのくに”づくり」に向けて、総合計画後期アクションプランに基づき諸施策を推進してきた。総合計画の評価は議会として別途されていることから、あらためてすべてを検証することとはせず、会派マニフェスト「覚悟」に記載した重点政策に対し、知事がどのように対応してきたかを評価することにより、会派として川勝県政の評価を行った。
評価は政調会を中心に重点政策にリンクする指標をピックアップし、総合計画に記載のものはその数字と評価結果を、それ以外の指標については4年間の実績値をもって、客観的に○(5点)、△(3点)、×(1点)にて評価した。
その結果、27項目で合計点は99点となり、平均3.7点という結果となった。
以下、マニフェストの4つの理念ごとに詳細を述べる。

2.個別評価結果

命を守り、将来の安心な暮らしの実現 

防災・減災力の強化と災害に強い地域基盤の整備 3.7点(11点/3項目)

「第4次地震被害想定」を踏まえ策定した「地震・津波アクションプログラム2013」による取組は、おおむね順調に推進されており評価できる。特に原子力防災センターの整備や富士山静岡空港の活用、地域防災リーダーの育成や富士山火山噴火対策の推進など多方面にわたる事業と実績は高く評価するものである。
 しかしながら、いつ起こるか分からない大規模地震に対し県民の関心度が高い津波対策においては、「静岡方式」の早期完成が求められており今後も不断の努力が必要とされる。

子育て支援の充実 2.3点(7点/3項目)

合計特殊出生率2.0の目標に対し平成27年1.54であり、ほぼ横ばいの状態であることから、「子どもを生み、育てやすい社会環境の整備」の評価は×(ばつ)(1点)とした。喫緊の課題である少子化対策は「ふじのくに少子化突破戦略の羅針盤」を作成し市町と連携した取り組みを進めているが、目標達成には相当の覚悟を持った取り組みが必要である。
子育て環境の整備については、待機児童対策として施設整備や保育士確保など社会総がかりで子育てに取り組もうとする姿勢は大いに評価するが、待機児童ゼロにはつながっていない。

安心の医療と福祉の提供 4.3点(13点/3項目)

安心の健康福祉の実現に向けた諸施策は、概ね順調に展開されている。特に、「ふじのくにバーチャルメディカルカレッジ」を通じた医師・看護師等の医療人材の確保や、静岡がんセンターをはじめとする質の高い医療の提供、また「ふじ33プログラム」を活用しての健康寿命日本一の推進などは実績も上げており、評価に値するものである。
 ただし、今後ますます見込まれる介護需要に対応していくためには、関連する人材の育成や確保、福祉環境の整備などに引き続き積極的な取り組みが必要である。

希望を持って自立を目指すセーフティネットの構築 4.3点(13点/3項目)

障がい者施策や生活困窮者対策は着実に実施されており、評価できる。今後は生活困窮者対策については、現場の実状にあった対象者の把握に基づき、生活面や学習面でのきめ細かな支援策を推進する必要がある。
いじめ防止に関しては、我が会派が提出会派となり12月定例会で議決した「静岡県子どもいじめ防止条例」に則り、社会総がかりでいじめの根絶が実現されるよう、より一層の努力に期待する。

「ものづくり」「ものづかい」日本一豊かな県

一次産業(農業・林業・水産業)の積極的な振興 3.0点(3点/1項目)

「食」、「茶」、「花」の都づくりの推進や「ふじのくに」ブランドを活かした戦略的な海外展開等は1期目に引き続き川勝知事色が特に発揮されている。今後は一次産業就労者の拡大と、より一層のブランド展開による稼げる農業・林業・水産業への成長を図るべきである。

企業が本県で事業展開しやすい産業育成の実現 5.0点(5点/1項目)

新成長分野への支援は、従来からのファルマバレーやフォトンバレー等の新産業集積クラスターの推進等と共に実績を着実に上げており評価できる。
製造品出荷額はリーマンショック前の水準に戻っていないが、企業誘致と定着に積極的に取り組み、企業への訪問活動を強化しニーズを的確に吸い上げ、諸施策に反映している。

ものづくりの基盤を支える中小企業の経営を全力でサポート3.0点(3点/1項目)

中小企業の経営に対し、きめ細かな指導を展開している点は評価できる。しかし、県内経済の低迷が続き、中小零細企業の経営は依然として厳しい状況にあり、今後は12月議会で議決した「中小企業・小規模企業振興基本条例」に基づき、商品開発や販路拡大のための支援など、諸施策の確実な実行による中小企業のさらなる経営基盤強化につながる取り組み強化に期待する。

雇用の空洞化を防ぎ、就労人口を充実 4.0点(8点/2項目)

人口転出防止策はまだ十分な成果に結びついておらず、若者の県外転出に歯止めがかかっていない。今後はUIターン戦略の継続と、より一層若年層に魅力的な雇用環境の整備に取り組む必要がある。
人口減少・超高齢化の長期的な進行を見据え、若者や女性、高齢者や障がい者の雇用創出、ワークライフバランスの推進等を更に推し進めることが必要である。

「人の力」「場の力」による観光振興の促進 4.3点(13点/3項目)

観光産業については、観光交流客数、宿泊客数ともに順調に増加しており、これまでの取り組みは高く評価できる。また、しずおか食セレクションをはじめとした場の力を使ったPRは、誘客促進の観点からも有効なものと評価する。今後は県東部、中部、西部の特色を打ち出した戦略の展開が必要である。
静岡空港は、利用者数、1日平均定期便数ともに増加しており、公共施設運営権制度への移行を進めていることも高く評価できる。しかし、羽田空港の発着枠拡大や中国路線の撤退等による影響から今後の国際線利用者数の減少が予想されており、アウトバウンド重要の掘り起こしなど、更なる空港利用促進の取り組みが望まれる。

将来の日本を背負える人材の育成

学校教育の環境を整備し、豊かな心を育成 3.0点(3点/1項目)

教職員の多忙化解消対策、特別免許状の授与制度、静岡式35人学級のための加配増員等の施策を実施してきた。静岡式35人学級の加配定数は、毎年度800人以上を配置し小中学校すべての学年で実施している。平成29年度からは下限を撤廃する方向を示すなど、少人数教育の推進に努める点は評価できる。
一方、教職員の多忙化解消は結果に結びついておらず、課題解決には至っていない。今後、「未来の学校“夢”プロジェクト」の成果を早期に実施する必要がある。

幼少期から一生涯を通じた人づくり、人支援の推進 3.0点(3点/1項目)

新たに導入された総合教育会議にも積極的に取り組み、本県教育の目標や施策の基本方針を示す『ふじのくに「有徳の人」づくり大綱』を策定して鋭意取り組んでいる。
社会総がかりの教育の実現に向けてはコミュニティスクールの導入を進めているが、社会全体で子どもを育てる県民意識の醸成は道半ばであり、NPOや企業との連携を図りながらキャリア教育を実施するなど、家庭・学校・地域・行政が一体となった社会総がかりの教育活動に向けさらなる取り組みが求められる。

自然・文化・芸術に通じた人材育成の推進 3.0点(3点/1項目)

グローバル人材育成基金を創設し、高校生段階から異文化体験や同世代の外国人との相互コミュニケーション能力、主体性・積極性、異文化理解の精神を身に付けた国際的に活躍できる人材の継続的な育成に努めているが、県内高等教育機関からの留学生数や留学生受け入れ数は目標に達成していない。関係する諸施策を確実に実行し、豊かな国際感覚を持つ人材育成に一層取り組む必要がある。

持続可能な静岡県の基礎づくり

将来を見すえた行財政改革の推進 3.5点(14点/4項目)

県が定める財政健全化指標についてはおおむね良好であるが、国の地方財政計画による臨時財政対策債の増加など懸念材料がある。県の借金であることに変わりはないため、次世代への負担継承をできるだけ少なくする不断の努力が求められる。 以前全国最下位と課題であった県税収入率の向上や滞納対策には積極的に取り組んできた。しかしまだ低位であることに変わりなく、引き続き税の公平性の観点からの取組み強化が求められる。
ファシリティマネジメントやアセットマネジメントの計画を策定し取り組みを進めてきたが、高度成長期に整備した施設の更新や老朽化対策など資産経営をさらに強化する必要がある。また今後は将来負担を考慮した施設整備を進める必要がある。 こうした中、県内市町との広域連携を推進するための行政経営研究会の設置や、富士山静岡空港の公共施設運営権制度など民間との連携など、新たな官民連携の取り組みを進めていることは評価できる。今後の人口減少社会を前提とした全体最適に向け、市町と連携をした取り組み強化に期待したい。