議会報告

令和5年12月定例会

意見書

おたふくかぜワクチンの早期定期接種化を求める意見書

(令和5年12月21日可決)

提出先

  • 衆議院議長
  • 参議院議長
  • 内閣総理大臣
  • 総務大臣
  • 財務大臣
  • 厚生労働大臣

本  文

 おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)は、無菌性髄膜炎、脳炎・脳症等の神経の合併症を伴うリスクや、約1,000人に1人の割合で聴覚障がい(難聴)を起こすリスク、さらに精巣炎・卵巣炎・膵炎を起こすリスクや、妊婦が感染した場合は流産のリスクもある重い感染症である。日本耳鼻咽喉科学会の調査では、2015年から2016年の2年間に少なくとも300人でおたふくかぜの罹患後に聴覚障がいの後遺症が現れたと報告されている。
 この疾患を予防するおたふくかぜワクチンは、その効果と安全性が確認されており、日本小児科学会でも接種が推奨されている。また、おたふくかぜワクチンは2009年時点で世界118か国で定期接種が行われており、このワクチンの1回接種を実施している国では、おたふくかぜの発症者数は88%減少し、2回接種を実施している国では、99%減少しているというデータも存在する。
 おたふくかぜワクチンの接種率が向上することにより、おたふくかぜの流行の防止、脳炎・脳症、聴覚障がい等の重篤な合併症及び後遺症の発症者の減少並びに家庭内感染の防止といった効果や、これらの結果として、医療費の削減につながることも期待される。
 しかし、現在、乳幼児へのおたふくかぜワクチンの接種は、予防接種法上の定期接種に位置づけられておらず、接種は任意となっている。おたふくかぜワクチンは2回の接種が推奨されているが、費用は1回につき5,000円から7,000円程度掛かり、乳幼児の保護者の経済的負担が大きい上、ワクチン接種の必要性が十分認識されているとは言い難い状況もあり、接種率は30%から40%程度にとどまっている。
 よって国においては、おたふくかぜを予防接種法上のA類疾病の「集団予防を図る目的で予防接種を行う疾病」に位置づけ、おたふくかぜワクチンの早期定期接種化を実現するよう強く要望する。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

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